いろんなアクセサリーをくっ付けたカメラがありますが、持主本人にとって最も価値がある付属物は
「撮ったときの思い出」とか「手に入れたときの個人的な物語」ではないかと思います。
今日修理したペトリV6もそういう物語付きのカメラで、
「私が生まれたとき、私を撮る為にお父さんが買ってきたカメラ」だと言われました。
使い方すらわからないけれど、ホコリまみれカビまみれなので、とにかく綺麗にしたいとのこと。
見たところ、幕は少々デコボコしているもののリボンは問題なく、テンションを巻き上げてみたら動作は回復しました。
これからまたバリバリ使うということならば、もちろん幕の張替えをすすめたでしょうが、
「大切にしたい」というのが修理依頼の理由なので、私は幕を現状維持するように言ってみました。
なぜなら、そういう部品にこそ古き良き時間が沁み込んでいるように思えるからです。
こういう場合、外観のクリーニングとカビとり、機械部の手入れや調節くらいで充分なんじゃないでしょうか。
このペトリV6は、露出計が外部取り付け式なので、それを持っていないと純粋な機械式一眼レフとなります。
電池を必要とせず、入れる場所すらありません。
つまり、そう簡単に撮れるカメラではないということです。
ならばいっそ、お父さんの手の中にあったままの状態で大切にした方が、私はいいと思うのです。
修理の依頼人が、いかにも「撮らない人」の場合、私は修理したい理由をよく聞くようにしています。
例えばそのカメラが誰かの形見の場合、壊れたままでも、動きが悪くても、大胆な部品交換はしないでおく方が
いいと思いませんか?
これって、修理屋が言うことじゃないかもしれませんが(笑)。
- 2011/11/14(月) 15:31:37|
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